相続や新たに手に入れた土地。でも、建物が建てられない、もしくは用途や大きさに制限がかけられているなど、自分の土地だから自由に建てられるとは限りません。新たに購入する場合には、不動産会社から重要事項の説明がありますのでよく確認してから手に入れましょう。
建てられない事例①【市街化調整区域】
無秩序な市街地の拡散を防ぎ農地や山林などの自然を守りながら、都市住民が文化的な生活ができるように、都市を計画的に形成するため、昭和43年に都市計画法が制定されました。
その中で区域分けされたのが市街化区域と市街化調整区域です。
例えば、山奥の道も狭いところに一軒家があったとします。この一軒家で火災や救急搬送が必要な時に、緊急車両が行けないなどは出来るだけ防ぎたい。
そのためには、道路や水道の整備が必要になる。すると大きな公共財産を必要としますよね。
このような公共投資はあちこちに実施するのではなく、一か所にまとめてることが合理的である。
では、計画的に都市を形成させよう。というのが都市計画法です。
ほかにも、工場や商業・住居を計画的に区分けすることにより限られた公共財源を集中的に投資させる目的があります。
都市計画法で区域分けされた、市街化調整区域では、市街化の促進を抑制することが目的となっています。
したがって、市街化調整区域では条件が整わないと建物を建てることができない。ということになります。
条件は、既存集落の出身や世帯分離によるものに限られかなり厳しいものになります。
さらに、工場や倉庫については、基本的に建てられないこととなっています。
なお、市街化調整区域に建物を建てる場合などには、開発行為の許可申請が必要となります。
土地の開発に係ることは、都道府県もしくは市町村の開発行為担当課に確認されると良いでしょう。
建てられない事例②【建築基準を満たさない土地】
当然ですが、道路に面していない土地には建物は建てられません。
この道路についても決まりがあり、道幅が4m以上の認められた道路、あるいは、4m未満でも特定行政庁が指定している道路(42条2項道路)のどちらかに2m以上接していることが条件となります。
また、道幅が4m未満の道路に隣接する場合には、道路幅を4m分確保する必要があり道路境界より後退(セットバック)して土地を使用する必要があります。
その他にも、用途地域や建ぺい率・容積率、高さ制限などが定められています。 建ぺい率とは、その土地にどの程度の建物を建てることができるかということです。
容積率は、延床面積についての制限です。 例えば、500㎡の土地に建ぺい率が60%・容積率が200%と制限があれば、建物の建築面積は300㎡までで、延床面積は1000㎡までということになります。
次に、用途地域に適しているかも確認しなければなりません。
市街化調整区域の中でも少し触れましたが、工業専用地域に住宅は建てられません。
この用途地域は、市街化区域の中にだけ指定されている区域設定であり、市街化区域だから何でも建てられるということではないので注意してください。
また、高さの制限や防火地域等を定め周辺の環境に対し配慮する規制があります。
建てられない事例③【農地転用ができていない農地】
宅地以外の地目も要注意です。特に田・畑などの農地については、農地転用の許可を受けないと農地以外の利用が制限されています。
日本では、農地を守るという傾向があります。
これには、安定した食料の供給ののために農地を保護し、田畑を守るという意味があります。
さらに、農業振興地域にある農地については、特に農地に対する縛りが強くなっています。
農業用以外に転用するときには、地区から除外する手続きも別途必要になるため、ひと手間増えることになります。
農地の転用許可申請には、所有者(使用者)を変更するもの、農地を他の用途に使用するもの、所有者と用途を変更するものと種類があり、それぞれの場合に申請する必要があります。
一般的に農地を取得できるのは、農業を営もうとしている人に限定されるため、通常は農地のまま使用しますがその場合にも、農地法の許可を受ける必要があります。
建物を建てる用途で農地を取得するには、上記の開発行為の許可と並行して農地法の許可を受ける必要があります。
いずれにせよ、農地の地目を変更する許可を得なければ建物どころか駐車場にも使用することはできませんので注意が必要です。
農地法については、市町村の農業委員会で担当しています。農業振興地域については、農業政策担当課の取扱いになります。
まとめ
このように、たとえ自分の土地でも自分好きなように土地を利用することが制限されている場合があります。
ご自身の土地がどのような土地なのかをよく理解し、合理的に利用することが望まれます。 価格の安い土地には、それらの制限があるから安い場合があります。
立地条件などの現地確認と併せ、土地の性質についても建物が建てられるのか?どんな制限があるのか?を不動産業者さんによく確認してから購入してください。
市区町村の役所窓口でも確認することができますので、不安な場合には電話でも対応可能ですので、一度会い合わせしてみましょう。
コメント